「輝くにはそのプロセスが大切だ」ということを考える

 
先日、自身のTwitterにも挙げたが、「大人アイドルプロフェッショナルとしてのV6論」という本が発売当初から話題を呼んでおり、完全に流行に乗っかる形で本を購入した。
大人アイドル~プロフェッショナルとしてのV6論

 

 

 

大人アイドル~プロフェッショナルとしてのV6論

 

 

 

 

 

読み終えた感想としては、今まで漠然と感じていたものをすべて文章化してくれたような本だった。「V6は魅力的である」というのは周知の事実だが、それをどんな言葉で、どんな言い回しで伝えればいいのか。日本人でありながら日本語のプロではない私としてはツイートをする時もそれを考えてしまう。文章を書くことを仕事にしている方々の凄みを感じつつ「はあ〜」「ほお〜」「ああ〜」と声にもならぬ声を発しながら納得して読むことができるものになっていた
 
この本の凄いところは、これを書いた人たちは全くV6のファンではなく何かに特化した専門家の方々だというところだろう。ファンの方が好きで書く本は何度か目にしたことはあるが、この本は違う。だから、贔屓目がない。その分客観的であるからアルバムレビューなどでは厳しめの評価も見られた。ファンとしてはV6の何もかもがキラキラ輝いて素晴らしいものに感じるが、それを専門的に見るとこう見えるのかとすごく勉強になった。そしてこの本を書くにあたりいろんな資料を見て研究したのだなということもよくわかるから、中途半端な項目は一つもない。
 
まずはこの本の目次をまとめてみようと思う。若干のネタバレになるが、この本少し気になってるんだけど、どんなことがどんな風に書いてあるの?と知りたい方には是非とも読んでいただきたいと思う。つたない文章ですが、お付き合いください。

年表

1995年7月トニセン『PLAYZONE』〜2015年12月『第66回紅白歌合戦』までが完璧に記されている。誰がどこで何をしたか、どんなエピソードがあるかなども細かく書かれていてこの本さえ持っていれば日本史ならぬV6史は完璧になるに違いない。

album review

17作品のアルバムを聞き、それを批評している。私なんかは楽譜もまともに読めないほど音楽の知識に乏しいので読むのはかなり時間がかかった。時代の流れと共に変わっていく収録曲のこだわりや工夫を知ることができ、読むだけで専門家になった気分になれる。音楽を勉強している人なら頷ける部分がたくさんあると思う。

column

8つのコラムがあり、それぞれ著者が異なる。そのうち6つはそれぞれメンバーについて、残りの2つはバラエティ番組「学校へ行こう」の功績についてと彼らのダンスについて書かれている。もう少し掘り下げると、例えば長野くんについては主に「ウルトラマンティガ」での功績を映画評論家の方が、岡田くんについては彼のその知性的な肉体の成長の過程をライターで大学講師の方が、坂本くんについてはリーダーとしての資質についてリーダー論の専門家の方が書いている。どれも実に納得がいくし、本当にファンの方じゃないんですよね?と疑いたくなる。特に坂本くんについてのコラムは素晴らしかった(あくまで個人的な意見です)。20年という長い期間での彼の心情の移り変わりや、内面、性格などが完璧に把握されていてメンバーが「坂本くんがリーダーだったからV6はこんなグループになった」と口を揃えて言うのを綺麗に裏付けている。他のコラムもファンの言葉を代弁するかのような文面が並び、とてもワクワクしながら読むことができた。「客観的に見てもV6っていいグループなんだなあ」と嬉しくなれる。

大きくこの3つに分かれていて、時代も1995〜1999年(第Ⅰ期)、2000〜2004年(第Ⅱ期)、2005〜2009年(第Ⅲ期)、2010〜2015年(第Ⅳ期)で分けられている。そのため読むのがとても楽でスラスラ読むことができた。これは購入して正解だった。

さて、今回のタイトルである「輝くにはそのプロセスが大切だ」というのは、この本を読んで私が思った言葉である。SMAPの爆発的人気でジャニーズアイドルの寿命は延びに延びた。それ以前のアイドルたちは一時期にしか止まることができずV6も光GENJIの解散コンサートに出演したりしていたのだから、本人たちもアイドルはずっとやっていけないと思っていただろう。実際に岡田は20歳くらいまでしかこの仕事は続かないと思っていたし、森田は期間限定ユニットだと思っていたと言う。

そんな彼らは去年20周年を迎えメディアに6人で出る機会が格段に増え、大人になりデビュー時とは違う輝き方をしているV6の姿に沼に堕ちた人が多数いたことを私は知っている。それはデビュー当時、またはその人たちがV6を知っていた頃の輝き方と現在の輝き方がまったく違うことに気づき、今の輝き方に至るまでの日本史ならぬV6史を調べて堕ちたのだろうと思う。彼らの成長の過程は知れば知るほど奥深く可愛らしい。私はTwitterでフォロワーさんの質問に答える質問タグをよくするのだが、その中でも「仲良しエピソードを教えてください!」というものが多い気がする。エピソードは彼らの関係性の推移を見ることができるし、とにかくわちゃわちゃしてて可愛いから人気なのだろうと思うのだが、それも彼らの軌跡で過程であると考えると納得する。

今、彼らが輝いているのは彼らのプロセスが関係していると私は考える。長年続いた「学校へ行こう」という番組が終わり、メンバーそれぞれがまったく違う道を歩き出した。個人の仕事が目立ち、ついには解散報道も出たほどだった。個人の仕事がそれぞれ軌道に乗り、高い評価を得始めるとV6はいつの間にか20周年が間近に迫っていた。そしてそんな1人1人の評価が高い6人が集まって、特にV4は他の現場では見せないほどツートップに甘えん坊になる姿は堕ちない方がおかしい(盲目)。1人1人に現在に至るプロセスがあり、葛藤がある。それが、今彼らを輝かせているのである。

成長を追うことに喜びを感じるオタクにとって、1人1人にハッキリとしてかっこよく可愛らしい現在に至るまでのプロセスがあるV6の魅力はいかほどか。そんな彼らのプロセスの一部が専門家の目から見られる本として、今回の本を紹介しておく。