左手の薬指の輝きにおける中毒性について

 
2月5日、オーチャードホールでジャニーズ初となるミュージカル曲限定ソロコンサート『One Man Standing』初日、坂本さんを観に長野さんと井ノ原さんが来ていて、WSでその様子が流れた。私はものの見事に見逃して録画も忘れて電車の中で死にたい衝動に駆られていたのだが、Twitterで流れてきた動画を見てなんとか命をあきらめることはなかった。情報社会様様だ。そしてその動画を拝見して軽率にミュージカルマサに恋に落ちかけた。まったく彼らに何度私は沼に突き落とされるのだろう。私に来るべき日が来たら、その死因は間違いなく溺死である。
 
しかしファンの洞察力とは素晴らしいもので、完全プライベートだった夕ドロ(長野/井ノ原)を映したものの数秒の間で、井ノ原さんの左の薬指に光るものを見つけていた。言われて初めて気づいた時に襲ってきた感情は「絶望」ではなかった。
 
「壮絶な萌え」だったのである。
 
 2007年9月28日。
かねてから交際していた女優瀬戸朝香さんとの結婚を発表した我らがイノッチは、同日記者会見前のコンサートでファンの方に一番に報告した。その姿は当時の冠番組「学校へ行こう」で全国に流れ、当時小学生だった私もその時の様子を記憶している。彼のその誠実でまっすぐな姿にたくさんの賞賛の声と、同じくらいの批判の声が投げつけられた。V6全盛期と言っても過言ではない時期のこの告白に私はどちらかと言うと前者の方で、批判覚悟の告白に堂々とした姿で男らしく挑んだ彼に純粋に惚れたと思った。
 
アイドルとは"みんなのもの"でなければならない。アイドルが結婚するということは"みんなのもの"から"誰か一人のもの"になることを意味する。夢物語が終わりを告げるということである。ファンの「私のものになって」という言葉を届けるには距離がありすぎる。いつだって彼らは雲の上の存在で、私たちはそれを地上から見ることしかできない。だから「誰のものにもならないで」と強く願うことしかできない(そう思わずにアイドルの幸せを受け入れ祝福するファンも大勢いるのは大前提)。雲の上の存在の彼らは時折「ステージの上」に降り立ち、私たちに幸福をもたらす。雲の上から降り立った彼らと地上で見守る私たちの唯一の面会場が特殊空間であるコンサートである。その場所で、井ノ原さんは「誰か一人のもの」であることを発表した。記者会見で世間に出るより早く。誰よりも先に私たちに。この判断は賛否両論あるので当時の私のように感じられない方もいたと思う。今となってみれば、2014年父の日に関連したランキング調査では「パパタレ好感度ランキング」で堂々の1位に輝いていることや、あさイチでの家庭的で庶民的なコメント、女性だけでなくすべての人に見せる気遣いなどが話題になるほどなので、結果的に結婚して色んな面の幅が広がってプラスになっている。
 
今回話題にしたいのは『仕事の場ではほとんど結婚指輪を付けない井ノ原さんがプライベートの場では付けているという事実並びにそれを見る私たちの妄想の中毒性』である。私たちファンにはほとんどというか全く見せないソレを垣間見たファンの反応は

「うっはあ…どうしよ…まぶし…も、妄想がァ…
止まらねえええええ!!!(2007年6月6日発売KAT-TUN・喜びの歌より雰囲気を抜粋)」

の状態に陥らせた。結婚指輪が「誰か一人のもの」という印で、仕事中つまりアイドルの井ノ原がそれをしていない時には「みんなのイノッチ」になることを表してるだなんてことは容易に想像できる。それが事務所に言われたからなのか本人のアイドルとしてのプロ根性なのかは私たちにはまったくもって分からないけれど、事務所が指示したにせよ本人の意思でやってるにせよ結果的に言いたいのは「グッジョブ!(涙を流し肩に手をかけながら)」の一言に尽きる。普段から見れないソレだからこそ見てしまったレア感にドキドキするのである。

結婚指輪を付けた状態の井ノ原さんは誰か一人のもので、その人と幸せな家庭を築いていると思うとアイドルという職業との間に矛盾…今回はそれが巨大なギャップになっている。だって想像(妄想)してしまうじゃないか。家庭では良いパパで、仕事の時は指輪を外してアイドルをするって一番萌える(燃える)状況じゃないか!(大声)

ソレを付け外しする瞬間を想像してみてほしい。
いつも笑顔の井ノ原さんが哀愁感を漂わせ目を伏せて左手の薬指から幸せの象徴を外す瞬間。
仕事が終わって家に帰る前に付ける瞬間。
ソレが嵌められた手で家のドアを開け子供たちを抱き上げたりするパパな瞬間…
あさイチアド街で見せる名司会ぶりやコンサートで見せる彼のウザやか(ウザい+爽やか)な魅力とは違う瞬間がある。

奇しくもWSで見せた井ノ原さんの左手の薬指にキラリと光るものを見つけたファンは、オーチャード坂本のミュージカルで見せるただ漏れの色気と既婚者アイドル井ノ原さんの魅力の壮絶キュンキュンダブルパンチ(ネーミングセンス皆無)を受けたようだ。私はこれからも全力で既婚者アイドル井ノ原快彦を推していきたいと思う。